こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

「編集者や校閲者のチェックがきいている情報は信用に値する。」 読書ノート 池上彰・佐藤優著『僕らが毎日やっている最強の読み方』(東洋経済新報社)+241日目~245日目(日本史、化学、世界史、数学B)

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池上彰佐藤優著『僕らが毎日やっている最強の読み方』(東洋経済新報社

発売日にこの本を買ったものの、9ヶ月間ずっと積読状態だった。なぜなら、本の中で「重要だと思われる部分」にあらかじめ線が引いてあり、それが1ページの中に何か所も存在して読みにくかったからだ。線引っ張り過ぎ。私は書き込みをしながら本を読むので、「自分で判断して、線をひいたり書き込みしたりしたいのになあ」とげんなりしてしまい、へそを曲げて本棚に放りっぱなしだった。

ところが最近、本棚をみて、この本の存在を思い出した。少し読んでみたら面白かったので、一気に読了した。

池上彰さんも佐藤優さんも、編集者や校閲者のチェックがきいている紙の情報を重要視している。新聞や書籍の情報をモノにするためには、中学・高校程度の基礎学力が欠かせない。また、スマホやPCに時間を奪われると読書や勉強の時間がなくなるので要注意だ。ちなみに、私のスマホはバッテリーがいかれている。メールや通話は大丈夫なのだが、ネットにつなぐとすぐに電池がなくなってしまう。しかし本を読む時間ができると割り切れば、修理とか買い替えとか必要ないような気がしてきた。FacebookもlineもTwitterもやっていないけれど、現時点では特に不自由を感じない。だから、もういい。

ただし、kindleには興味がわいた。佐藤さんは紙で読んだ本を2冊目として電子書籍で買うという。確かに紙の本はかさばって仕方ない。今度試してみようかと考えている。買ったら買ったで、漫画ばかり読んでしまいそうな気がするが。

 

◎勉強日記

<日本史>

*「石川の日本史B実況中継④」第57回「大正時代の社会と文化」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「教科書よりやさしい日本史ノート」81「大正デモクラシー」と83「市民文化」の穴埋め問題をやる。

この時代は意外と面白い。サラリーマンもデパートもトンカツもカレーライスも、みんなこの時代に誕生した。今の生活に直接つながっているような気がする。

白樺派学習院系だとか、新思潮派が東大系だとか、そんなざっくりとした分け方も初めて知った。直木三十五の『南国太平記』という本は、読んだことがないどころかタイトルすらも知らなかった。文学史のところはどうしても食いついてしまう。

高村光太郎は『智恵子抄』のイメージが強すぎて、彫刻家だといわれると驚いてしまう。今年の青森旅行で十和田湖をまわったとき、高村光太郎作「乙女の像」を見たことを思い出す。

 

<化学>

*「宇宙一わかりやすい高校化学(無機化学)」Chapter9「アルカリ土類金属」を一気に仕上げる。(9-1「2族元素」~9-7「ベリリウムマグネシウム」)解説を読み、巻末の確認問題を解く。

化学式など、おぼえにくい事項もあるが、とりあえず「見たことがある」程度でかまわないのでどんどん進むことにする。あとで簡単な問題集を使って復習する予定だ。

BaSO₄はX線検査の造影剤として使われる。身近なものを知るのは面白い。

 

<世界史>

*「青木の世界史B実況中継③」第61回「帝国主義時代の開幕(1)ー帝国主義の概観と、英仏の情勢ー」~第62回「帝国主義時代の開幕(2)ーロシア・アメリカの情勢ー」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「ツインズ・マスター」51「帝国主義と列強の展開」の穴埋め問題をやる。

チボー家の人々』を読んでから、このあたりの歴史はやりたくて仕方がない。「帝国主義」とは、1870年代以降、欧米の国々がとった積極的な対外政策だ。そのために軍備を整えたり、国民の団結を図るためにナショナリズムを強化したりもする。

ロシアは国内の政情不安のはけ口として、バルカン半島への野心をあらわにする。第一次世界大戦が少しずつ近づいている。

 

<数学B>

*「初めから始める数学B」7th day「ベクトルの空間図形への応用」の解説を読み、練習問題を解く。

*問題集「基礎問題精講 数学ⅡB」165「垂線の足のベクトル」~167「球と直線」の例題のみを解く。

今日でベクトルは終わりだ。空間における直線のベクトル方程式だの、平面のベクトル方程式だの、やることは多かったが、やっていることは平面ベクトルと変わりがない。とはいえ、すべて片付けるのに2時間30分もかかってしまった。数学はけっこう夢中になってしまうので、時間を忘れてしまう。楽しい。

 

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「死が身の回りから遠ざかっている今だからこそ、この本を読んでもらいたい。」 ロジェ・マルタン・デュ・ガール著 『チボー家の人々(11)一九一四年夏Ⅳ』(236日目~240日目)

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(11)一九一四年夏Ⅳ』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

「一九一四年夏」の最終巻だ。月並みな感想で申し訳ないが、戦争だけは絶対に避けなければならない「悪」だと思った。「ふつうの生活」ができなくなるのはとてもつらいことだ。それなのに、死が身近な世界から遠ざかると、そのことを忘れてしまう。

なぜ戦争は起こるのか、なぜあらゆる反戦勢力は敗れたのか、そのとき国民はどのように行動したのか。第一次世界大戦当時「自分の国は自分で守れ!」と、ナショナリズムの嵐が巻き起こった。この本を読めば当時の疑似体験ができる。においも音も、あきらめの気持ちも何もかも。

今こそ、多くの人々に読んでもらいたい。

 

11. 一九一四年夏Ⅳ

チボー家の人々』第11巻のあらすじを紹介する。

 

1914年8月1日。フランスでついに総動員令が発動された。8月2日日曜日をもって動員発令第1日目とする。外国人は8月2日までにフランスを退去しなければならない。

ジャックは兵役につくつもりなどさらさらない。スイス国籍の偽パスポートを持っているので、恋人のジェンニーを連れて国外退去するつもりだ。だが、そのあとは?スイスに逃げた後、何をすればいいのか?「自分の生活、自分の意志、自分の確信を行動にあらわさないかぎり、そこにはなんの意味もないのだ」と、ジャックは考える。

 

フランスを立つ前に、兄アントワーヌに会っておかなければ。ジャックは兄の家に向かう。アントワーヌは動員発令第1日目にコンピエーニュに向かうことになっていた。

アントワーヌは、ジャックとジェンニーの仲を打ち明けられ仰天する。ふたりでスイスに向かうだって?しかもこんな時に。アントワーヌはジャックに「きみは、ほかの人間を幸福にするには根本的に不適任だ・・・根本的に!」とはっきり告げる。ジャックの持つ思想は、ジャック自身のみならずジェンニーにも危険を及ぼす。アントワーヌのことばに、ジャックは激昂する。「あなたは一個の冷血漢だ!あなたは、一度も愛したことがない!これからだって、ぜったい愛したりはしないだろう!」

最後の最後まで、ジャックは「兄さんにはわからないんだ!」と言い続けるのだ。

 

だが、ここまで激しいことばのやり取りをした後でも、やはり血の通った兄弟だ。翌日の朝、ジャックはひょっこり家に現れ、アントワーヌを駅まで送るのだ。

それはまさにジャックだった。彼は入口のところに立ちどまった。アントワーヌは、ぎこちないようすで前へ進んだ。感動のあまり、ふたりは、声が出なかった。ふたりは黙ってたがいに手と手を握りあった。さもきのう、何ごともなかったとでもいうように。(P103)

ふたりはまた会えるだろうか?兄も弟も同じことを考えていた。心の中に家を中心とした、どうということのない様々な出来事がふたりの胸に浮かぶ。そして、ふたりは駅でぎこちないようすで抱き合って別れを告げる。

 

一方、ジェンニーも母親と対決せざるを得ない。フォンタナン夫人がオーストリアから帰ってきていた。ピストル自殺した夫に対する告訴を取り下げることに成功していた。もちろんフォンタナン夫人も驚き、ジェンニーに思いとどまらせようとするが、ジェンニーはもう決めたことなのだと、荷物をまとめて家を出てしまう。だが、家でひとりで泣き崩れているであろう母親のことを考えると、ジェンニーは心が揺れ動く。そして、待ち合わせの場所に現れたジャックに、「私はお母さんをおいては行けない」と告げるのだ。

ところがジャックは、落胆するどころか、「これで自由になれた!」と思うのだ。これで心おきなく自分の使命を遂行できる。これでかんたんになったのだ!

 

ジュネーブに着いたジャックは、自分の計画への協力をあおぐため、メネストレルを訪れる。彼の計画にはメネストレルの人脈が必要なのだ。

ジャックの計画とは、アルザス戦線の上空を飛行機で飛び、独仏両軍に向かって、両国語で書いたアジビラを何千何万とまくことだった。「反抗せよ!彼らのために命をささげることを拒んでやるんだ!人を殺すことを拒んでやるんだ!」と、前線の人間に呼びかければ彼らも心が動くに違いない。

その計画を実行するために、飛行機の操縦を数日間だけ教えてもらいたいというジャックを制して、メネストレルは自分が操縦することを申し出る。恋人のアルフレダがメネストレルのもとを去ってから、彼は腑抜け状態だ。彼もまた、死に場所を求めているのだ。バーゼルへ行き、国境から飛び立てば、すぐにアルザスの上に出られる。それまでにビラの原稿を用意し、フランス語とドイツ語に翻訳し、印刷所で印刷しなければならない。飛行機はメネストレルが用意してくれる。

 

ジャックはバーゼルに向かう列車の中で、アジビラの原稿を書いていた。このときのジャックの脳裏をよぎるさまざまな思いが切ない。彼はアントワーヌやジェンニーやダニエルのことを思う。しかし今や、彼らは自分とは違った世界の住人だった。彼らは「生きている世界」であり、これからも人生の旅を続けていく人間なのだ。

おれには、戦争をせきとめることなぞできやしまい・・・誰も助けることなんかできやしまい。助かるのはおれだけなんだ・・・だが、おれだけは、なすべきことをやってのけ、自分自身を助けるのだ!(P232-233)

ジャックはいつも「ここではない、どこかへ」の逃亡を繰り返していた。そして、最後は死への逃亡が待っている。

彼は、すでに恐怖を乗り越えてしまっていた。見せかけの強がりをすて、思いつめた、酔うような、身のしまるような悲しみの気持ちで、その呼びかけにこたえていた。こうした意識的な死、これこそは人生の完成なのだ。これこそは、自分自身にたいしての忠実さ・・・反抗の本能にたいしての忠実さの、究極の行為にほかならないのだ・・・彼は、子供のころから、いつも《否!》と言いつづけた。それこそは、彼にとり、ただ一つの自己確認の方法だった。人生にたいする否ではなかった・・・社会にたいする否だった。ところが、いまこそ最後の否、すなわち生きることにたいしての否なのだ・・・(P252)

このくだりは、どこを読んでも胸を打つ。どの部分を引用したらいいかわからないほどだ。ジャックがバーゼルで、自分が徹底的にひとりぼっちだと感じる場面も素晴らしい。完全なひとりぼっちの尊さと力を、ジャックはたまらないと感じている。

これでいよいよ重荷がおろせる・・・、あの、うるさい、腹の立つような世間とのおつきあいもこれで終わりだ!しちめんどうな、腹の立つような自分自身とのおつきあいもこれで終わりだ・・・彼は、なんの心のこりもなく、生のことを思っていた。生のこと、そしてまた死のことを・・・(P248)

 

ジャックとメネストレルは、飛行機にアジビラを積み、アルザスに向けて飛び立った。しかし、ついに反戦ビラは撒かれることはなかった。

 

アルザスの上空で発動機が止まり、飛行機はまっさかさまに墜落してしまうのである。飛行機は地面に叩きつけられ爆発を起こし、メネストレルは焼死。ジャックは大やけどを負い、舌はちぎれ、瀕死の状態だ。

何事かと駆けつけたフランス軍に、ジャックはドイツ軍スパイの容疑をかけられ、担架で連れまわされてしまう。あまりの苦しみに、そのまま死なせてほしいとジャックは願うのだが、なかなか思うようにはいかない。

その後、ドイツ軍の攻撃を受け、フランス軍はパニックに陥る。担架に積んだ「お荷物」など運んでいる余裕などない。早く逃げなければ。「ばかやろう、かたづけちまえ!つかまえられなくなかったら、きさまも早く逃げ出すんだ!」の声に、一度も人を殺したことのない兵隊が、震える手で銃を持つ。そして、ジャックの頭めがけて発砲するのである。ジャックは25歳だった。

 

まだまだ第一次世界大戦は始まったばかりだ。4年間もの長期戦になると、この時誰が予想しただろうか。

(第12、13巻「エピローグ」につづく)

 

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韓国と北朝鮮のサッカー合同ナショナルチームができたなら。+234日目~235日目(日本史、化学、世界史、数学B)

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サッカー日本代表がW杯出場を決めたが、その裏で韓国代表もW杯出場を決めた。韓国は日本以上に危なかったけど、ライバルである韓国が出てこないと面白くないと思っていたから、(おまけに韓国が予選敗退すると、次回のW杯アジア予選で同組になりそうで面倒だから)本当によかった。

たまに、「韓国と北朝鮮との合同ナショナルチーム」ってできないのかな?と妄想することがある。ラグビーアイルランド代表は、アイルランド共和国北アイルランドとの合同チームだ。同じことがサッカーでもできないだろうか?朝鮮半島統一チームができたら、ものすごく盛り上がると思う。北も南も関係なく、朝鮮半島に住む人がみんなで一生懸命応援するナショナルチームなんて、考えただけでも楽しそうだ。サッカーをきっかけに人の交流が盛んになって西側の文化が入ってくれば、北朝鮮だって内側から変わってくるんじゃないだろうか。

政治に疎いパート主婦が考えることなんて、この程度だ。しかし、最近いやなニュースばかり聞くので、ついついこんなことばかり考えてしまうのである。

 

◎勉強日記

<日本史>

*「石川の日本史B実況中継④」第56回「ワシントン体制・政党内閣の成立」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「教科書よりやさしい日本史ノート」79「第一次世界大戦後の政治」~82「政党内閣の成立」までの穴埋め問題をやる。(81「大正デモクラシー」は次回に回す。)

特筆すべきは、日本が人種差別撤廃をヴェルサイユ条約に入れることを要求したことだ。アメリカの反対で要求は通らなかったが、要求した事実だけでも知ることができてよかった。日英同盟の破棄もアメリカの強硬な要求だった。なぜだ?

 

<化学>

*問題集「化学基礎の必修整理ノート」第2章「酸と塩基の反応」1「酸と塩基」~2「水素イオン濃度とpH」(P64-67)までの問題を解く。

この辺はわりと覚えていた。難なくクリア。

 

<世界史>

*「青木の世界史B実況中継③」第59回「東アジアの激動(1)ー中国の情勢ーアヘン戦争太平天国・洋務運動」~第60回「東アジアの激動(2)ー朝鮮の開国と日本ー」の二回分を一気にやる。

*問題集「ツインズ・マスター」50「東アジアの激動」の穴埋め問題をやる。

洪秀全だの康有為だの、中国は才能が豊富だ。変法運動という立憲体制の樹立をめざした運動は偉いが、少し遅すぎたか?洋務運動と変法運動の相違点は記述問題に出るとのこと。テストに出る出ないは私には関係ないが、相違点は覚えておこう。

閔妃殺害事件はぞっとする。三浦梧楼の自伝の中公文庫版では、侍従長明治天皇の言葉として「(三浦も)やる時にはやるな」と三浦に伝えた部分が削除されたという。青木先生はこういう情報もさりげなく載せてくれる。

 

<数学B>

*「初めから始める数学B」6th day「空間ベクトルの演算、成分表示、内積」の解説を読み、練習問題を解く。

*問題集「基礎問題精講 数学ⅡB」159「空間座標」~164「四面体(Ⅱ)」までの例題のみを解く。

「初めから始める数学B」の方は、平面ベクトルの復習のような問題ばかりだったのでほっとしたが、問題集をいざ解くとなると骨が折れた。163~164の四面体の応用問題は自力では解けず、解答を見ながら手順を理解することに努めた。「解答を見ても理解できない」というほどのものは、まだない。よかった。

 

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「普通の人々が、どのように戦争に引き込まれていったのか。そのリアルさに震える」 ロジェ・マルタン・デュ・ガール著 『チボー家の人々(10)一九一四年夏Ⅲ』(228日目~232日目)

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(10)一九一四年夏Ⅲ』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

フランス国民の大多数は戦争反対だった。誰しも戦場で殺し合いなんてしたくなかった。ところがいつの間にかずるずると戦争に引き込まれ、「領土保全のためなら仕方ない」とか「正当防衛のためなら仕方がない」と考えるようになる。インターナショナルの闘士も次々と寝返っていく。そのあたりの雰囲気がリアルに伝わってくる。

 

10. 一九一四年夏Ⅲ

チボー家の人々』第10巻のあらすじを紹介する。

 

ジャックはメネストレルの指令でベルリンに向かっていた。オーストリアの将校、シュトルバッハ大佐がベルリンの陸軍省を訪れている。ジャックの任務は、シュトルバッハが持っている秘密文書を手に入れ(といっても、トラウテンバッハという盗人がうまく手に入れてくれるのだが)、ブリュッセルにいるメネストレルに渡すことだ。かなり危ない仕事だが、ジャックはベルリンを無事に通過し、秘密文書をメネストレルに渡す。

 

メネストレルはホテルの部屋でひとり、秘密文書とにらみあっていた。それは今にも勃発しそうな戦争を吹き飛ばしてしまう可能性のある爆弾だった。シュトルバッハ文書によって、ドイツ軍部とオーストリア軍部が通謀し、戦争準備を着々と進めてきた事実が明らかになったからだ。オーストリア皇帝は戦争反対。ドイツ皇帝もドイツ宰相も戦争はやりたくない。それなのに、政府の思惑をすっ飛ばして、軍部が暴走してしまったのだ。ドイツにとってオーストリア最後通牒が「寝耳に水」なんて嘘ばかり。すべては仕組まれていたのである。

この事実をインターナショナルの指導者たちが知ればどうなるだろうか。社会主義者の脅迫の前に、ドイツはオーストリアに差し出しかけた手を引っ込めるかもしれない。オーストリアはドイツの支持を失ってまで戦争をする勇気はない。そうなれば、オーストリアも外交上の駆け引きで満足せざるを得ない。世界戦争は回避されるだろう。

だが、革命家のメネストレルはこの文書を握りつぶしてしまうのである。「革命には戦争による混乱が必要だ」という信念があるからだ。その後、恋人のアルフレダがメネストレルを捨てて他の男と逃げたとき、メネストレルはこの秘密文書を焼き捨ててしまう。戦争防止の切り札は、あっけなく消え去ってしまうのだ。

 

誰も戦争なんてやりたくない。それでも「仕方がないか」と諦めが広がり、戦争に引きずり込まれていく様が、この本ではあまりにもリアルに描かれる。ジャックは戦争に絶対反対の平和主義者だ。ゼネストによって戦争拒否の意思を示すことで、なんとか戦争を阻止したい。だが、インターナショナルも一枚岩ではない。正当防衛による戦争に賛成派と反対派に別れて議論している。それでもインターナショナルフランス支部の指導者であり『ユマニテ』紙主筆ジョーレスはまだまだ元気で、戦争阻止を叫んでいる。彼がジャックの心の救いだ。

 

フランスに帰国したジャックはアントワーヌを訪ねる。兄の家では、医者仲間のスチュドレル、ロワ、ジェスランたちが戦争について議論を戦わせていた。戦争だけは絶対にやってはならないというジャックに、ロワは「敵に攻めこまれて国土を占領されても?」と皮肉を浴びせる。すぐさまドイツに、ムーズ県だのノール県だの、いろいろあげたらどうですか。ドイツが欲しがっている海への出口も添えたらどうでしょうかと。

このことばにジャックは反撃する。

労働者や鉱夫たちの大部分は、そうすることによって彼らのみじめな生活を本質的に変えられるでしょうか?そして、彼らにたずねてみたとしたら、大部分のものが、戦場での名誉の戦死などより、そのほうがいいとは言いますまいか?(P196)

僕にはよくわかっているんです。あなたは、戦争と平和とを、国家生活における正常的な振子の運動のように考えておいでです・・・おそろしいことです!・・・そうした非人間的な振子の運動、それを絶対にとまらせなければ!(中略)戦争は、何ひとつ、人間の生活問題を解決しません!何ひとつ!それは、働くもののみじめな状態を、さらにはげしくするだけなのです!(P196)

 国民の大多数は戦争なんてやりたくないと思っている。そうした個人の主張を犠牲にして、何の名において、国民に服従を強いなければならないのだろうか。

すると、アントワーヌが言う。「社会契約の名において」と。

われらは、個人としては、弱く、孤立していて、何も持っていないんだ。われらの力にしても   われらの力の大部分、そして、われらがそうした力を有効につかわせてもらえているというのも   それは、われらをまとめ、われらの活動力に秩序をあたえてくれている社会的集団のおかげなんだ。(P204)

われらはすべて国家的共同体の一員だ。(中略)これは好ききらいの問題ではない。事実の問題なんだ・・・今後人間にして社会生活をつづけていくかぎり、そうした社会にたいし、かって気ままに自分たちの義務から解放されようなどと考えることはゆるされないんだ。自分たちを保護してくれ、自分たちをその恩沢に浴させていてくれるそうした社会にたいして(P204)

 国家は個人を守ってくれる。それが都合のいいときだけ「義務を果たすのはいやだ」はないだろう、という理屈だ。

ジャックは徴兵拒否する心づもりだが、これはかなりの勇気がいることがわかる。政府に要注意人物としてマークされる恐ろしさもあるが、それよりも、自分の肉親や友人に理屈で責められることの方がつらい。

 

そして、最後の頼みの綱のジョーレスもジャックの目の前で凶弾に倒れてしまう。それはフランスに動員令が発令される前日のことだった。

(第11巻につづく)

 

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自分のチームを持つサポーターは、日本代表にそれほど関心がないという件について。+223日目~227日目(日本史、化学、世界史、数学B)

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Jリーグやその下のカテゴリーで自分の好きなチームを持っている人は、サッカー日本代表にはあまり関心がない。もちろん応援はするし、日本代表がW杯で活躍してくれれば嬉しいには違いないのだけれど、一番大事なのは自分のチームだけだ。

もちろん、自分のチームから日本代表に選出される選手がいると嬉しい。そのくせ「試合で使わないなら呼ぶな」と文句を言い、試合に出たら出たで「ケガだけはしないでくれ」「ミスをして周囲から叩かれませんように」とひやひやしながら見ている。日本代表の勝敗よりもそっちの方が大事。複雑な心境、親心。それがサポーターだ。

今日は日本代表vsオーストラリア戦だ。FC東京からは髙萩洋次郎が選ばれた。試合に出ても出なくてもいいから、ケガだけはしませんように。今のFC東京は「髙萩システム」とでも呼んでいいくらい、アンカーの髙萩に頼った戦術を取っているので、髙萩に離脱されたら完全に終わってしまう。無事に帰ってきますように。

 

 ◎勉強日記

<日本史>

*「石川の日本史B実況中継④」第55回「大戦景気・原敬内閣」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「教科書よりやさしい日本史ノート」78「第一次世界大戦終結と大戦景気」の穴埋め問題をやる。

すぐに忘れそうになるが、大正時代は1912-1926だ。原敬は東京駅で狙撃された。東京駅丸の内南口の原が倒れたところにポイントが打ってあるそうだが、何度も東京駅を訪れているのにも関わらず気が付かなかった。日本は意外とテロが多いという印象だ。

 

<化学>

*「宇宙一わかりやすい高校化学(無機化学)」Chapter8「アルカリ金属」に入る。8-1「ナトリウムの単体」~8-7「炎色反応」までの解説を読み、巻末の確認問題を解く。

第8章を一気に読む。炎色反応の語呂あわせは覚えやすい。

 

<世界史>

*「青木の世界史B実況中継③」第57回「南アジアの植民地化」~第58回「東南アジアの植民地化」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「ツインズ・マスター」49「南アジア・東南アジアの植民地化」の穴埋め問題をやる。

東インド会社」は不思議な組織だ。軍隊を持ち、条約を結ぶことができるなんて、一種の「国家」だ。インド侵略はイギリス本国からではなく、東インド会社から始まったとのこと。

ちょっと驚きだったのが、マラッカ海峡地帯で使われていたマレー語が、イスラーム教が浸透して以来、アラビア文字で表記されていた時代があったということ。あれもこれも知らないことばかりだ。

 

<数学B>

*「初めから始める数学B」第2章「空間ベクトル」に入る。5th day「空間図形と空間座標の基本」の解説を読み、練習問題を解く。

今回は「空間ベクトル」のほんのさわりだけだ。該当部分があまりにも短いので、問題集はなし。

 

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「第一次世界大戦はどうしても避けられなかったのか?」 ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(9)一九一四年夏Ⅱ』(218日目~222日目)

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(9)一九一四年夏Ⅱ』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

第一次世界大戦は避けられなかったのだろうか。避けられたとすれば、どのような手立てがあったのだろうか。当時のフランス人たちは「戦争なんて起きるわけないじゃないか」と意外と楽観的だった。しかも、大部分の国民たちは戦争を望んでいなかった。それなのに、いつの間にか巻き込まれてしまうという恐ろしさが、この本を読むとよくわかる。歴史が繰り返さないことを祈るのみだ。

 

9.一九一四年夏Ⅱ

チボー家の人々』第9巻のあらすじを紹介する。

 

ピストル自殺をはかったジェローム。彼はオーストリアのある会社に名義貸しをしたのだが、その会社が破産してしまい、債権者たちから訴えられてしまう。結局、遺書を残して自殺する羽目になった。意識不明のジェロームが運び込まれた病院で、ジャックとジェンニーは思いがけず再会することになる。何も説明せずにフランスから忽然と消えてしまったジャック。ジャックがいなくなったことで、体調を崩してしまったジェンニー。ふたりの間に気まずい空気が流れ、お互いよそよそしくふるまう。

結局、ジェロームは数日後に死んだ。女好きのジェロームにあらゆる苦難をなめさせられたフォンタナン夫人は、つかの間の安らぎを感じる。そして、夫が残した破産問題の後始末をつけに、オーストリアへ行こうと決意するのだった。

 

一方、フランス左翼新聞の『ユマニテ』社では、ジャックをはじめとする社会主義者の仲間たちが、ヨーロッパの情勢について議論を交わしていた。サラエボ事件は世界戦争に発展してしまうのか?戦争を引き起こさないためにはどうしたらいいのか?

オーストリアセルビア最後通牒を突き付けていた。つまり、「この条件を受け入れないなら、戦争をするよ」という通告だ。期限は48時間という極めて短いものであり、提示された条件も厳しいものだった。ロシアは期限延長するよう、オーストリアに求める。しかし、オーストリアはロシアの仲介をはねのけてしまう。オーストリアは戦争を望んでいるのだ。

戦争をやめさせるには、民衆が立ち上がるしかない。国家、民族を越えて、世界中の労働者や社会主義者が団結し、大規模な反戦デモやゼネストを起こせば、お偉方が戦争をやりたくてもやれないだろう。プロレタリアートよ、団結せよ。ジャックは「インターナショナル」の力を特に強く信じていた。革命による社会変革もいいが、今は戦争を回避することが一番大切だ。

 

ダニエルが任地に戻る日がやってきた。ジャックはダニエルを駅まで見送りにいく。インターナショナルの活動が頓挫すれば、ダニエルの命も危険にさらされるだろう。「戦争にはならない」と、ジャックはダニエルに力強く宣言する。

ところが、「ジェンニーが来てるんだ」というダニエルの思いがけないことばに、ジャックは真っ赤になってしまう。振りむくとそこにジェンニーの姿があった。ジェンニーも兄の前でジャックを無視するわけにはいかず、目を合わせずに頭を下げる。ジャックは「じゃあ、失敬」と、逃げるようにその場を立ち去る。

ところが、駅を出た瞬間、不思議な力が彼を立ち止まらせる。運命が与えてくれるものを拒んでいいのだろうか。素晴らしい機会を永久に取り逃がしてしまっていいのだろうか。ジャックは踵を返し、駅に戻るのである。

ダニエルを乗せた列車は行ってしまった。兄と別れたジェンニーがこちらに向かってやってくる。ジェンニーはジャックの姿が目に入ると、恐怖の表情を浮かべ、そのまま顔を合わせないように出口の方に向かう。ジャックは「話したいことがあるんだ!」とジェンニーを追う。「いや!」「話があるんだ!」「行ってちょうだい!」と、ここからふたりの追いかけっこが始まる。追いかけて、追いかけて、追いかけて、ジャックはついに叫ぶ。

「ジェンニー、ゆるして!」

ジェンニーはそこで立ち止まる。互いに必要だと感じているのに、逃げたりはぐらかしていたりしていたふたりは、この場面から真に打ち解け合うのだった。

 

セルビアはついに、オーストリア最後通牒を受け入れた。国家主義団体《ノロードニャ・オブラーニャ》を解散させることや、反オーストリア活動をした疑いのある将校を軍隊から追放すること、などなど。しかし、誰を被疑者とするか審議する法廷の構成(オーストリアを入れるか入れないか)だけは保留事項にしてほしい。と、セルビアはほとんど屈服に近い態度に出た。ところが、この「保留事項」がオーストリアは気に食わない。結局、交渉は決裂した。オーストリアは初めから「戦争ありき」だったのだ。

セルビアオーストリアに譲歩したことは有名なことがらなのだろうか。ここまで譲歩したというのに・・・ここで戦争を食い止める手立てはなかったのだろうか。

 

アントワーヌの治療を受けている外交官のリュメルは、人々の前では楽観論をぶちまけるが、アントワーヌには苦しそうに本音を漏らす。「世論を準備させておかなければ」と。情報を細工すれば、世論は思うように振り向けられる。

セルビアオーストリアが開戦すれば、セルビア擁護のためにロシアは動員令を発動する。ドイツはオーストリアとの条約に従って動員令を発動する。露仏同盟により、フランスも動員令を発動することになる。もう実際に各国は戦争準備を着々と進めているというのだ。動員の必要などないと確信の持てる国などどこにもないと。

(第10巻につづく)

 

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