こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

「人は、すべての過去に結びつけられている。」 読書ノート ロジェ・マルタン・デュ・ガール著 『チボー家の人々(6)ーラ・ソレリーナー』 284日目~287日目

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(6)ーラ・ソレリーナー』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

「ラ・ソレリーナ」とはイタリア語で「妹」という意味だ。この小説をジャックが雑誌に変名で発表していたことから、アントワーヌはジャックの居場所をつきとめる。ジャックが行方不明になってから3年の月日がたった。彼はスイスのローザンヌにいた。アントワーヌ32歳、ジャック23歳だ。

 

6.ラ・ソレリーナ

チボー家の人々』第6巻のあらすじを紹介する。

チボー家の大黒柱チボー氏は、癌のために激痛に苦しめられ、次第に気弱になっていく。権力と名誉と金を手に入れ傲慢だったところは見る影もなく、今では家政婦のおばさんに、子供のように歌を歌ってもらうことを楽しみにしているひとりの老人にすぎない。

チボー氏はある日、アントワーヌに向かって、ジャックのことを口にする。チボー氏はジャックが自殺したと思い込んでいるのだ。

そのほか、まだ言っておきたいことがある。ジャックの死んだことについてなのだ。かわいそうなやつだった・・・このわしは、為すべきことをすっかりしてやっただろうか?・・・わしは、厳格にしてやろうと思った。そして、あまりにも峻厳にすぎたのだった。おお主よ、わたくしは認めます、わたくしは子供にたいしてあまりにも峻厳にすぎました・・・わたくしは、ついぞ子供から信頼を得ることができませんでした・・・(P39)

そして「わしは息子を守ってやれなかった!自殺したのはユグノープロテスタント)のしわざだ。あいつらがそそのかしたんだ!」とフォンタナン一家をなじるのである。

そんなある日、アントワーヌの家に一通の手紙が届く。あて名はなんと「ジャック・チボー殿」だ。差出人は大学教授で詩人のジャクリール。手紙の内容は、ジャックの書いた小説に対するジャクリールの感想が書かれていた。ジャックは生きているのか?ジャックはどこかで小説を書いているのか?手がかりをつかむべく、アントワーヌは早速、ジャクリール教授に会いに行く。

ジャクリールはアントワーヌに、スイスで刊行されている一冊の雑誌を提示する。その中に掲載されていた作品『ラ・ソレリーナ』。作者はジャック・ボーチー。(変名にしては、あまりにもバレバレだが)。ジャクリールはジャックが書いたものだと推測し、アントワーヌの家に感想を書き送ったのだ。

アントワーヌは、『ラ・ソレリーナ』をジャクリールに借り、ビアホールで読みふける。そこには、小説の形をとった「実話」が書かれていた。ジウゼッペというイタリア人が主人公だが、どう考えても、これはジャック本人のことなのだ。プロテスタントのイギリス人女性、シビルとの恋。シビルとはジェンニーのことだろう。ダニエルやフォンタナン夫人を思わせる登場人物も出てくる。

チボー氏を思わせる人物、セレーニョに対しては辛辣な書きっぷりだ。

そうだ、憎悪と反抗と。ジウゼッペの過去はこれに尽きる。彼にして若かりし日を思うとき、復讐の気持ちが燃えあがる。きわめて幼いじぶんから、彼のあらゆる本能は、それが形を取るにしたがい、すべては父にたいする戦いだった。(P85)

 アントワーヌは気弱になっているチボー氏の姿を思い浮かべ、なにかやりきれない気持ちになってしまう。一方、自分のことはどう書いてあるのかと気になって探すと、あった。ジウゼッペの兄は「毒にもならない話ばかりしている」。兄弟は腹を割った話ができず、互いに距離があるのだ。当時アントワーヌはラシェルに夢中だった。ジャックのことなど眼中になかったのだ。「俺が悪かったんだ」とアントワーヌは反省する。

それにしても、ジウゼッペはなぜ家を出たのか。小説によれば、ジウゼッペがシビルとの婚約を父親のセレーニョに告白したところ、プロテスタントとの付き合いを認めない父親と大喧嘩になり、「自殺してやる!」と家を飛び出したことになっている。

『ラ・ソレリーナ』には、それ以上にショッキングな出来事が書かれていた。ジウゼッペは実の妹に愛を告白され、肉体関係を結んでしまったというのだ。血のつながりがないとはいえ、チボー兄弟と妹のように暮らしてきたジゼール。ジゼールとジャックは寝たことがあるのだろうか?ジゼールに求婚したアントワーヌこそ、いい面の皮ではなかったか?

果たしてこれらは本当なのだろうか。

 

その後、アントワーヌは探偵事務所に依頼して、ジャックの居場所を突き止める。ジャックはスイスのローザンヌで新聞社に記事を書いたり、校正の仕事をしたりして生計をたてていた。そして、とある革命集団の中に居場所を見つけ、みんなの尊敬を集める立場にもなっていた。それは革命の中心人物としてではなく、人の話を虚心坦懐に聞いてくれるという点においてだが。ジャックの周りには革命を志した、さまざまな国籍の若者が集まっていたが、ジャックの知性には一目置いているようだった。

ジャックはアントワーヌがいきなりやってきたので驚き、「なんのご用?」とすっとぼける。「お父さんが危篤なんだ。もう臨終にまがないんだ。それできみを呼びに来たんだ」とアントワーヌは単刀直入に告げる。ジャックは過去がいやおうなしに自分の生活の中に侵入してくるように思われ、苦しさを感じる。しかしジャックは、その日の晩の特急でアントワーヌとともに家に向かうことに応じる。

 

結局、『ラ・ソレリーナ』は実話をもとにしたフィクションだった。特にアントワーヌが気になったのはジゼールとジャックが肉体関係を結んだことを疑わせるくだりだが、ジャックは真剣に言う。「そんなことがあり得ると思う?」。ジャックにとって彼女は妹以外の何者でもないのだ。

チボー氏とジャックが口論をしたのは本当のことらしい。だが、家出の原因はそれだけではない。作家になりたいと考えていたジャックは「エコル・ノルマルで三年間勉強するのはムダなのではないか。真の感情がそらされてしまうのではないか」と思い悩み、ジャクリール教授に相談しに行ったのだという。詩人として、ジャクリールを尊敬していたからだ。

しかし、教授は周囲の青年たちから批判されることを恐れる俗物に過ぎなかった。ジャックは教授を「にせもの」だと見抜いてしまう。相談しにきたのが無駄だった。ジャックは席を立ち玄関に向かう。すると背後からジャクリールの声が聞こえた。「ごらんの通り、わたしはからっぽだ。もうおしまいの人間なのだ」と。ジャクリールはジャックの肩をたたくと、何かにつかれたようにまくしたてる。

わたしに用とおっしゃるのか!なにか助言を?よし、これだ!書物を捨てるがいい。本能のままにやりたまえ!すなわち、ひとつのことを学ぶのだ。(中略)どこかの新聞社にはいる。そして雑報の種をあさる。わかるかな?わたしはけっして狂人じゃない。雑報ですぞ!世間めがけてのダイヴィングだ!きみのあかを落とそうと思えば、これほりほかに道はない。朝から晩まで駆け歩くのだ。事故であろうと、自殺であろうと、訴訟事件、社交界のできごと、淫売宿での警察ざた、どれひとつとして逃してはならない!目をあける!文明の引きずっているすべてのもの、良きも悪しきも、思いもよらないようなもの、二度とあり得ないというようなもの、すべてにしっかり目をあける!そうしたあとで、人間なり、社会なり    またあなた自身なりにたいして、はじめて口がきけるのだ!(P197)

ジャックの激しさは、自らの自由を守るためには、誰の力も借りようとしないところにある。親の遺産など、まったくあてにしていない。そんなものをもらったら自由ではなくなってしまう。父親が亡くなった時も、遺産の受け取りを一切拒否している。

だが、ジャックはジャックで、否応なしに過去に縛り付けられている自分を感じている。それも兄アントワーヌによってだ。家に帰る汽車の中、ジャックはひとつの考えに心を揺さぶられる。

彼はいま、自分がたちまち、われにもあらずこの兄に、終始かわらぬこの友に、さらに進んでは、兄を通じてすべての過去に、結びつけられかけているのを感じた!きのうまで、越えがたいみぞを持っていたのに・・・それが、わずか半日で・・・彼は、こぶしを握り、首をたれ、そのまま口をつぐんでしまった。(P219)

 次巻ではついにチボー氏が亡くなる。しかし、安らかには死ねず、断末魔の苦しみの末に死んでいく。人間が死ぬのはこんなにも大変なことなのか、と思わせる。

(第7巻につづく)

 

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すぐに役立つ本は、すぐに役立たなくなる。+280日目~283日目(化学、世界史、数学Ⅱ)

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青木裕司 世界史B講義の実況中継』(いつもは省略しているが、正式名称はこうだ)第3巻のコラム「青木は『資本論』を読んだ」にじーんときてしまった。青木先生は大学生のときに、『資本論』を一日20ページずつ読むことを日課とし、三か月で全三巻を読み切ったそうだ。そのとき「自分はこれで確実に一つの山を越えたな」と感じたという。「今まで本を読んで得た感動の中で、これは最高のものでした」ということばに感激だ。何度も同じことを書くが、『世界史の実況中継』で一番信用できるところは、青木先生が原典にあたっていることだ。古典の周辺について書かれたものを読むのではなく、古典そのものを読んでいることだ。

受験生に向けて、青木先生はこう続ける。

大学生活とは、読書です。本を読んで考えることをしない学生生活など”無”といっていい。

じゃあどんな本から読むか?

結論を言うと、その道の最高にして最大の本。

国文に行くのだったら、紫式部の『源氏物語』とか、夏目漱石全集とかね。

英文学をやる人だったら、やっぱりシェークスピアかなあ。経済学だったらアダム=スミスの『諸国民の富』でもいいし、ワルラスでもメンガーでもケインズでもいいや。政治学をやるのだったら『リヴァイアサン』とかね。大著をじっくり読む時間が、君たちに少なくとも4年間は保証されているのです。大学のときに軽いものばかり読むのはダメです。すぐに役立つ本は、すぐに役立たなくなるものです。(『青木裕司 世界史B講義の実況中継③』語学春秋社 P140)

「大学生活とは、読書です」「すぐに役立つ本は、すぐに役立たなくなるものです」とは、まさにその通りだ。しかしあまり大きな声では言えないが、私は全然勉強しなかったし、本もこれっぽっちも読まなかった。いったい何をしていたのか?今思えば無益な学生生活を送ったものだが、もう過ぎ去ったことなので仕方がない。馬鹿げた学生生活を取り戻すべく、今からでも古典と格闘して、少しはマシな人間生活を送りたい。

 

◎勉強日記

<化学>

*問題集「化学基礎の必修整理ノート」5「金属結合」~6「結晶の種類と性質」(P41-P43)の穴埋め問題をやる。

*「宇宙一わかりやすい高校化学(無機化学)」4-8「硫酸」~4-10「希硫酸」の解説を読み、巻末の確認問題を解く。

理論化学はやったはずなのに、きれいさっぱり忘れていることを感じる。問題集を解きながら少しずつ思い出そう。

 

<世界史>

*「青木の世界史B実況中継③」第47回「ウィーン体制の崩壊ー七月革命二月革命ー」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「ツインズ・マスター」43「ウィーン体制の成立」の穴埋め問題をやる。

赤と黒』は七月革命前夜だった。本の中で貴族階級の人々は「革命がもう一度起きたら、私たち貴族は死刑になってしまう」と戦々恐々としていたので、七月革命で王様はいなくなってしまったのかと思いきや、そうではなかった。王政が廃止されたのは1848年の二月革命だ。この辺は混乱しそうなので、何度も読む。

 

<数学Ⅱ>

*「初めから始める数学Ⅱ」17th day 「微分計算、接線と法線の方程式」の解説を読み、練習問題を解く。

*問題集「基礎問題精講 数学ⅡB」82「導関数」~87「関数決定(Ⅰ)」の例題のみを解く。

微分計算は楽しい。まだ基礎の基礎に過ぎないが、今のところ苦労を感じることはない。どうして今まで微分積分を怖いと思っていたんだろう。自分の世界から怖いことが減るのはとても嬉しい。

 

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「人間の行動なり意思決定には、自ら選び取れるものは案外少ない」 読書ノート ロジェ・マルタン・デュ・ガール著 『チボー家の人々(5)ー診察ー』 277日目~279日目

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(5)ー診察ー』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

前巻から3年の月日がたった。時は1913年。アントワーヌ32歳。第5巻は医師として充実した日々を送っているアントワーヌの一日を切り取った巻となっている。アントワーヌの自宅兼診療所には、診察を求めて次々と患者が訪れる。この巻にはジャックは登場しない。難関エコル・ノルマルに優秀な成績で合格したにもかかわらず、学校には行かず、そのまま行方不明になっているというのだ。なぜ再び家出をしてしまったのか。この巻ではまだ明らかにされていない。

 

5.診察

チボー家の人々』第5巻のあらすじを紹介する。

上記のとおり、この巻は精力的に働くアントワーヌのある一日を描写したものである。平和な日々。だが翌年には第一次世界大戦が起こることを誰も知らない。

アントワーヌが診察した患者を時系列に並べる。

・ロベール(15歳)とその弟(13歳)。ふたりに親はない。弟は印刷工場でこしらえた傷口が悪化してわきの下まではれ上がっている。アントワーヌに診てもらいたい一心で訪ねてきた。アントワーヌは弟の傷口を切開してやり、手当てを施してやる。

・チボー氏。頑迷だったアントワーヌの父親(78歳)は癌に犯され、病床に伏している。看護婦のセリーヌがかいがいしく世話をしてくれている。

・エッケとニコルの娘(2歳)。急性耳炎からさまざまな併発症が起き重体。アントワーヌは、師匠のフィリップ博士とともにエッケの自宅に訪れるが(この娘だけ往診に行っている)、もう助からないと判断する。

・ユゲット(13歳になるかならないか?)。バタンクール夫人の娘。結核の兆候があらわれている。いずれ現れてくるであろう骨格の炎症、カリエス性の脊椎崩壊のことを考えて、向こう何か年かはギプスをはめなければならないだろう。

・リュメル(40歳過ぎ)。外交官。なんの病気かはっきり書いていないが、体にかなりの痛みを抱えている。今まで不和だったドイツとオーストリアが急接近しつつある外交の内情を話す。ヨーロッパ全土は自動的にバルカン紛争に巻き込まれるのではないか?と。第一次世界大戦がすぐそこまで迫っていることがうかがえる。

・ジゼール(19歳)の部屋。彼女は患者ではない。『チボー家の人々』の読書ノートでははじめて触れるが、ジゼールはチボー家の家政婦ヴェーズ嬢の姪っこである。両親を亡くしたジゼールをヴェーズ嬢はチボー家で育てた。アントワーヌやジャックにとっては妹のような存在だ。

だが、今やアントワーヌはジゼールを女性として意識しており、彼女に求婚している。しかしジャックを愛しているジゼールは首を縦にふらない。彼女はジャックがどこかで生きていると信じているのだ。

・エルンスト氏(60歳くらい?)とその子供。エルンスト氏は、子供の言語障害が、自分が以前かかった梅毒によるものなのではないかと考え、妻にも打ち明けられず、ずっと苦しんでいたことを告白する。アントワーヌは一笑に付す。「じつにばかばかしい限りです!」と。エルンスト氏の無限の感謝のまなざしに、アントワーヌに歓喜の感情がわきおこる。

・再び、ロベール少年とその弟。エッケの家に行く途中、彼らの様子を見に行く。弟はすっかり元気になった模様だ。

・エッケの家。2歳の娘は断末魔の苦しみにあえいでいるのに、死はなかなか訪れない。エッケ夫人(ニコル)は疲労困憊だ。

エッケは友人ステュドレルとともに「なんとか・・・なんとかしてやらなければならん。このまま苦しませて何になろう?」とアントワーヌに訴える。自分の娘を安楽死させてくれないか、と。

アントワーヌはこの頼みを突っぱねてしまう。だが、なぜ突っぱねたのか?アントワーヌは自分の選択が何によってなされたのか、自分自身に問いかける。苦しみながらさまざまな思索をめぐらすが、その答えは見つからない。

《おれは生きている》と、彼は考えた。《これこそはひとつの事実だ、言葉をかえて言えば、おれは不断に選択し、行動している。よし、だが、ここからやみがはじまっている。すなわち、その選択なり、その行動なり、それははたして何の名によってなされるのか?》(P141-142)

アントワーヌは自宅に帰る。台所では雌猫が絶望的な声で鳴いていた。彼は今朝、家番の息子レオンと交わした会話を思い出す。雌猫が7匹も子猫を生んだ。1匹は姉が欲しがっているという。だが、あとの6匹は・・・。

アントワーヌは、くずかごの中をのぞいてみた。からっぽだった。

《いいか、みんな水につけて殺しちまうんだ》自分がそう言いつけたのではなかったろうか?しかも、これまた生き物にちがいないのだ・・・どこに区別の理由がある?いかなるものの名において?(P153)

 人間は自分の意志で決定し、選び取ることができるものは案外少ないのではないだろうか。何かを決定するとき、それは「いかなるものの名において」なされるのだろうか。

帰宅したアントワーヌの元には伝言があった。エッケの娘が亡くなったという。

 

150ページ足らずの短い巻だったが、読みごたえがあった。次巻では、ジャックが何を考えて家を出たのか、手掛かりをつかむことができる。

(第6巻につづく)

 

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新国立競技場はFC東京のホームになるのか?+272日目~276日目(化学、世界史、数学Ⅱ、日本史)

 

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なつかしの国立競技場。いいスタジアムだった。座席にはドリンクホルダーがなくて不便だったし、トイレは狭かったし、ろくな売店もなかったし、周囲の道は細くて行き帰りは大変だった・・・と、ほめているのかけなしているのかわからなくなってきたが、ここではいい試合をたくさん見た。とてもなつかしい。

 

知っている人も多いと思うが、政府は、新国立競技場を、東京オリンピック終了後にJリーグ特定クラブの本拠地にすることを検討している。候補に挙がっているのはFC東京鹿島アントラーズだ。(FC東京はともかく、「鹿島」アントラーズが東京を本拠地にするなんてありうるのか?)

新国立競技場の方が我が家からは行きやすいので、FC東京サポーターの私としては心躍る話ではあるが、6万人収容のスタジアムでは毎回ガラガラだろうなあ。五輪後、新国立競技場のトラックを潰してサッカー専用スタジアムにする案もあるらしい。8万人収容スタジアムになったら、ますますガラガラぶりが際立つだろう。それにチケットも値上がりしそうだ。なんだかんだで、やはり慣れ親しんだ味スタがいいのかもしれない。(味スタは、もう少し洋式トイレを増やしてほしい。和式が多すぎる!)

 

◎勉強日記

<化学>

*問題集「化学基礎の必修整理ノート」4「分子間にはたらく力」(P38-40)を解く。

*「宇宙一わかりやすい高校化学(無機化学)」4-4「硫黄の単体」~4-7「二酸化硫黄」の解説を読み、巻末の確認問題を解く。

「化学基礎」の方は理論化学の復習だが、きれいさっぱり忘れていたり、実は理解していなかったりといったことを実感して、けっこうツラい。がんばろう。

無機化学」は元素の性質について学ぶ学問だが、硫黄ひとつ取っても、硫化水素だの二酸化硫黄だの、いろいろな形態が出てきてなかなか覚えられない。仕方がないので「見たことがある」程度でいいかなと割り切ることにした。

 

<世界史>

*「青木の世界史B実況中継③」第46回「ウィーン体制の成立ー正統主義vsナショナリズム自由主義」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集の該当部分はなし。次回に回す。

近代フランス文学も同時に読んでいるので、この辺は楽しくて仕方がない。民族主義とかナショナリズムとかいった概念はこの時代に登場する。登場してから間もないことに驚く。

 

<数学Ⅱ>

*「初めから始める数学Ⅱ」第5章「微分法と積分法」に入る。16th day「関数の極限、微分係数導関数」の解説を読み、練習問題を解く。

*問題集「基礎問題精講 数学ⅡB」80「極限(Ⅰ)」~81「極限(Ⅱ)」の例題のみを解く。

0.9999999・・・=1 の左辺は、1に限りなく近づける「動作」を表わす。そして、この「動作」の最終的な「目的地」が1だ。「極限に近づく動作=目的地」という考え方は理屈ではわかるが、なんだか不思議な気持ちがする。どこまでも深い穴に吸い込まれていくような、宇宙の果てまで飛び出すような、不思議な気持ちだ。

問題自体はたいしたことはなかった。次だ、次!

 

<日本史>

*「石川の日本史B実況中継③」第46回「明治初期の外交と自由民権運動」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「教科書よりやさしい日本史ノート」60「明治初期の外交」、63「自由民権運動Ⅰ」~64「自由民権運動Ⅱ」の穴埋め問題をやる。

この回は本当に面白かった。蝦夷地、琉球王国小笠原諸島北方領土、日本なのか日本じゃないのかよくわからないようなあいまいな場所が、どのように「日本」として組み込まれていったのかがわかる。

西南戦争などの不平士族の反乱も起きるし、困窮した農民たちの激化事件も起きる。近代日本の礎を築いた大久保利通も偉いが、何も持たない庶民たちもこの激動の時代をよく耐え抜いたと感心する。

 

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「暴力で女を支配する男と、ダメ男ぶりで女を支配する男」 読書ノート ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(4)ー美しい季節Ⅱー』(268日目~271日目)

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(4)ー美しい季節Ⅱー』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

4.美しい季節Ⅱ

チボー家の人々』第4巻のあらすじを紹介する。

チボー家の長男アントワーヌは29歳。第3巻で、彼は、父親の秘書シャール氏の娘(血縁関係はないが)に人生初の大手術を施して命を助けた。ラシェルは26歳で、ユダヤ系の美女だ。たまたまアントワーヌの手術の助手を務めたことが縁で、ふたりは恋に落ちる。しかしラシェルは、アントワーヌが今まで見たことのない世界に住む女性だった。

 

ラシェルの半生はかなり特殊だ。彼女には実際のモデルがいるのだろうか?

彼女は天涯孤独といっていい身の上だ。オペラ座で衣装係をしていた父親は日射病で亡くなり、兄もイタリアで溺死した。母親は生きているが、精神病院で暮らしている。

ラシェルの元恋人イルシュは50がらみの男で武器商人だ。イルシュとともにアフリカの国々を旅したときの思い出をラシェルはアントワーヌに話す。このイルシュという男がサディスティックで恐ろしい男なのだ。

たとえば、ラシェルが撃ち落とした鷺を取りに、アフリカの少年のひとりが川に入ったときの話だ。少年は川に入ったとたん、ワニ(とは書いてないが、たぶん)に食いつかれ、いきなり川底に引きずり込まれてしまった。イルシュは少年を苦しませないよう、銃を構え、少年の頭をいきなり撃つ。そんな事件があった後だというのに、イルシュは周囲の黒人少年たちに告げるのだ。「誰か、おれの目覚まし時計をやるから、ラシェルの鳥を取ってきてくれ」と。

アフリカのある部族の女が、姦通の罪により石で打ち殺される現場にも嬉々として出かけている。かなり異常な男なのだ。

また、イルシュが自分の娘と性的関係を持っていた話も恐ろしい。イルシュの娘クララはラシェルの友人であり、ラシェルの兄の婚約者だった。だがある日、ラシェルは、クララとイルシュの関係に気づいてしまう。クララは父親に犯されることに抵抗するために、自分の兄と結婚したのだとラシェルは思うようになる。だが、クララが結婚してから3週間目。イタリアの湖水でクララとラシェルの兄の遺体が発見される。クララには絞殺された跡があり、ラシェルの兄は溺死だ。おそらくイルシュとクララの関係に気づいた兄が、クララを絞め殺し、そのまま身投げしたのではないかとラシェルは言うのだが、イルシュがこの件に絡んでいないとも言い切れない。真相は闇の中だ。

こんな異常な男に魅かれているラシェルも、かなりエキセントリックな女性だ。今まであらかじめ敷かれたレールの上を歩いてきたアントワーヌにとっては、驚きの連続だ。

こうした奇怪なラシェルの身の上話をきかされて、彼はびっくりしつづけていた。思えば自分は、そうした彼女とは全然ちがって、有産階級の家に生まれたこととか、仕事とか希望とか、しゃんと計画を立てている将来とかで、しっかりフランスの土地にくぎづけられてしまっているのだ!彼には、自分を結びつけているそうした鎖がはっきり見えていた。それでいながら、彼は一度も、それを引きちぎろうなどと思ったことはなかった。そして、ラシェルが望んでいるもの、しかも、彼にとってはまったく見ず知らずのあらゆるものにたいして、ちょうど家畜が、あらゆるうろつきまわるもの、住まいの安全をおびやかすものにたいしてもつのとおなじような、一種の敵意を感じていた。(P132)

そして、ラシェルの存在は、予定調和の人生しか歩んでこなかったアントワーヌを変えていく。

そして、彼には、ラシェルと出会うまでのあらゆる人生のできごとが、すべてやみの中に沈もうとしてでもいるかのように思われていた。それらはすべて、《まえ》のできごとだった。(中略)つまり、自分の変わるそのまえなのだ。つまり、彼は、精神的にすっかり変わってしまっていた。まるで鍛え直されたとでもいうようだった。成熟し、同時に、さらに若くなった感じだった。(P136)

自分とはまったく違う世界の人間と出会うことは、その人を成長させる。それも、友人関係の出会いではダメで、恋愛関係の出会いでなければならない。パートナーとの濃密な関係ならば、まったく違う価値観でも素直に受け入れることができるだろう。

しかし、ふたりの別れは唐突にやってくる。イルシュがカサブランカからラシェルを呼び寄せたからだ。ラシェルはイルシュの元へ行かなければならない。どんなに殴られようと、侮辱されようと、刑務所にまで入れられようと、ラシェルはイルシュの魔力にはあらがえないのだ。彼女は自分が「自由」であることを強調していたが、実際はちっとも自由ではない。ふたりは涙ながらに別れるのだ。

 

なぜ異常な男に魅かれる女がいるのか?この巻では、フォンタナン夫人が夫のジェロームに、アムステルダムまで電報で呼び寄せられる話も書かれている。ジェロームの愛人ノエミがホテルの一室で死にかけていて、自分ひとりでは手に負えないと泣きついてきたのだ。ノエミが亡くなったあと、ジェロームは当然のようにフォンタナン夫人の元へ戻っていくのである。イルシュがサディストで女を支配する男なら、ジェロームは「この人、私がいないとダメなんだわ」と思わせるようなダメ男ぶりで女を支配する男だ。都合が悪くなると甘えればいい。夫人は優しいのでどこまでいっても許してくれるからだ。フォンタナン夫妻もかなり変わった夫婦だ。

 

一方、チボー家の弟ジャック(20歳)と、ダニエルの妹ジェンニー(19歳)の距離もぐっと縮まる。彼らはたまたまふたりきりになる機会があったのだが、互いに大真面目な話をするうちに、「ふたりはなんて似ているんだろう」ということに気づくのだ。ジャックと別れた後、ジェンニーは発作のように「あの人とは会いたくない!」とダニエルやフォンタナン夫人に訴える。狂おしいほど好きだというのに、こうした反応をしてしまうところにジェンニーの難しさがある。そして、ダニエルやフォンタナン夫人はジェンニーの本心を悟ってしまうのだ。

 

第5巻でジャックはどうなるのか?実は、彼はエコル・ノルマルという難関校に上位の成績で入ったにも関わらず、学校には行かずに行方不明になってしまうのである。「ここではない、どこか」への脱出の試みはどうなるのだろうか。(第5巻につづく)

 

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HTML&CSS。ちょっと楽しい。+267日目(化学、世界史、数学Ⅱ、日本史)

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『スラスラわかるHTML&CSSのきほん』(狩野祐東著 SBクリエイティブ

今、この本でHTML&CSSを覚えようとしている。この本の通りに仕上げると、とあるカフェのおしゃれなホームページができるようになっている。記述がとてもわかりやすい。今まで<a>とか<body>とか、いったいなんだ?と思っていたが、いちいち説明してくれるのがうれしい。そのうえ、サンプルのロゴや写真がきれいで、自分がその道のプロになったような錯覚に陥る。(笑)

あれこれ手を出し過ぎるのもどうかと思うが、せっかくパソコンを開いているので、少しくらいかじってみてもいいかな?くらいの気持ちだ。これを覚えて何かするわけではないが(たぶん何かできるほど覚えられないが)、知っているだけでもちょっと楽しい。

 

◎勉強日記

<化学>

*問題集「化学基礎の必修整理ノート」3「共有結合」(P34-37)をやる。

*「宇宙一わかりやすい高校化学(無機化学)」Chapter4「16族元素(酸素・硫黄)」の4-1「酸素(その1)」~4-3「オゾン」までの解説を読み、巻末の確認問題を解く。

問題集は理論化学の復習になるが、読み物のように活用している。隅から隅まで読んで、穴埋め問題は解答を見ながらチェックする(ほとんど忘れている)。それからもう一度初めから読んで、穴埋め問題の答えはノートに書く。少し時間はかかるが、覚えることはできる。

無機化学も元素の性質がわかって面白い。

 

<世界史>

*「青木の世界史B実況中継③」第45回「ナポレオン時代ーその栄光と挫折ー」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「ツインズ・マスター」42「フランス革命とナポレオンⅡ」をやる。

ナポレオンは八方塞がりのフランスを救った英雄だ。今までは単に「戦争に強い人」のイメージしかなかったが、この人がいなかったら今のフランスはない。考えていたよりスゴい人物だった。

『赤と黒』では、ナポレオンを崇拝する人物は危険人物とみなされていた。王党派にとっては、「王様バンザイ」と言わない人は全員危険分子だということか?それとも、特にナポレオンに対して「あんな人物を崇拝するなんて」と思われていたということか?この辺の空気はよくわからない。

 

<数学Ⅱ>

*「初めから始める数学Ⅱ」15th day 「対数計算、対数関数、対数方程式・不等式」の解説を読み、例題を解く。

*問題集「基礎問題精講 数学ⅡB」69「対数の計算(Ⅰ)」~79「大小比較(Ⅱ)」まで、例題のみを解く。

ついにlogが登場だ。少し身構えたが、ほとんど計算問題なので慣れれば難しくない。問題集の該当部分は範囲が広かったが、一気に片付けた。楽しい。最近数学が一番やってて楽しいかもしれない。次回から微分積分だ。

 

<日本史>

*「石川の日本史B実況中継③」第45回「経済の近代化」の赤字部分をノートに取りながら、流れをつかむことを心がけて読む。

*問題集「教科書よりやさしい日本史ノート」61「殖産興業」をやる。(60は次回にまわす。)

地租改正。「地価の3%払え」という話が、途中で「固定で現金3円払え」と話が変わっているが、いったいどういうことか? 「%」の話が、なぜ「現金いくら」になったのかよくわからないが、仕方ないので次に進む。

また、屯田兵の定義について、今まであやふやなところがはっきりした。仕事を失った武士に仕事を与えるといった意味合いの制度で、国境警備隊兼農民(開拓民)を屯田兵という。「開拓使」というのは、役所の名前だということも初めて知った。北海道に開拓民として渡った「人間」を「開拓使」というのかと思っていた。 

 

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「恋はそれぞれ、その当事者に似る」 読書ノート ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(3)ー美しい季節Ⅰー』 261日目~266日目

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ロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々(3)ー美しい季節Ⅰー』(山内義雄訳 白水Uブックス

 

「美しい季節」には、登場人物たちのそれぞれの恋の物語が書かれている。表題の「恋はそれぞれ、その当事者に似る」は、巻末の店村新次氏の解説による。まさにその通りではないだろうか。

ジャックとアントワーヌがふたり暮らしをするようになってから5年がたった。ジャック20歳、アントワーヌ29歳。

この「ふたり暮らし」の件だが、どうやらふたりは父親と同じ建物に住んでいるらしいのだ。チボー氏は上の階、ジャックとアントワーヌは下の階。同じアパートでありながら、別々の部屋に住んでいるということか?チボー氏は地元の名士で金持ちなので、ものすごい豪邸に住んでいるのかと思いきや・・・それともパリでアパートに住んでいるといったら金持ちに決まっているのだろうか。なかなか具体的に絵が浮かんでこなくて困る。

 

3.美しい季節Ⅰ

チボー家の人々』第3巻のあらすじを紹介する。

ジャックは少年園を出てからの5年間、必死に勉強した。そして、フランス全国の秀才が集う高等師範学校(エコル・ノルマル)に第3位の成績で合格するのだ。祝福してくれる友人たち。しかし、ジャックは喜び半分失望半分の複雑な気持ちだ。ジャックの胸の中に燃える思いはいつも「ここじゃないどこかへの脱出」だ。

 

ダニエルら友人たちは、ジャックの合格祝いをしようと「パクメル」というナイト・バーへ繰り出す。親友のダニエルは画家になった。彼は美術商リュドウィクスンの手によって個展を開き、作品にも顧客がついている。リュドウィクスンの出す美術雑誌の仏文欄も手掛けている。イケメンのダニエルは、父親の血を引いたせいか、隙あらば女の子と付き合っている。ナイト・バー「パクメル」は、ダニエルが女の子を「お持ち帰り」する社交場なのだ。ジャックはダニエルのことを「美男子だなあ」と見ほれつつも、ダニエル御用達の社交場に居心地の悪さを感じる。

 

一方、兄アントワーヌの方には一大事が降りかかる。父親の秘書をやっているシャール氏の娘(血のつながりはない。同居している「ばあや」の姪っ子で、シャール氏が娘のようにかわいがっている。)が車にひかれたという。アントワーヌがシャール氏の家に駆け付けると、娘は瀕死の状態だった。すぐに病院へ運び込むことを提案すると、「いやでございますよ」とひとりの老婆に拒絶される。シャール氏の母親だ。「私たちはめいめい自分のベッドで死んでいきたいんです。病院なんてまっぴらですよ」

言い返したいのをぐっとこらえ、アントワーヌは考える。このままでは死んでしまう。仕方がない、ここで手術をしよう。

だが、これはアントワーヌの人生初の大手術となった。この手術のシーンがとてもリアルだ。部屋のあらゆるものを工夫して手術室を作り、彼より一足先に来ていた若い医者や近所の女性を助手にして、テキパキと指示を送る。そして、アントワーヌはついに大手術を成功させる。先ほどまで頑なな態度を取っていた老婆は尊敬のまなざしでアントワーヌを見つめ、助手として頑張ってくれた若い医者はアントワーヌのことを「メートル(大先生)」と敬う。アントワーヌとしても悪い気はしない。

そして、同じアパートに住んでいるという縁だけでアントワーヌのにわか助手になってくれた女性、ラシェル。彼女はユダヤ系の美女で、今までアントワーヌの周りにいなかったタイプの女性だった。

しかし、自分が自由であることをラシェルは何度も強調する。

「このあたしは、ぜんぜんおとなしいお友だちとか、気のゆるせる恋人なんかになれる資格はありませんの。あたし、どんなでたらめでもやってのけたいと思っていますの。どんなでたらめでも。そのためには自分が自由でいなければ。だから、あたしは自由でいたいんですの。わかって?」(P160-161)

しかし、アントワーヌはへこんだりはしない。彼は、これはと思ったものをあきらめた経験がなく、敗北をしたことがなかった。相手の立場や気持ちがはっきりわかってしまえば、取るべき対策がわかると自信満々なのだ。恋愛の駆け引きですら合理的に考えるところが、アントワーヌの面白いところだ。ふたりは恋に落ちる。

 

アントワーヌはラシェルと深い関係になったことについて、ジャックに得意げにしゃべる。しかし、心の中で純真でいたいと思っているジャックは不愉快な気持ちになる。フォンタナン家に兄と訪れたときも、居心地が悪く、ずっといらいらしっぱなしだ。第2巻でフォンタナン家に転がり込んできた少女ニコルは、ドクトル・エッケと婚約して幸せいっぱいだ。フォンタナン夫人の人当たりのいいおしゃべり、ラシェルとの情事について放埓な打ち明け話をしたくせに、夫人の前では常識的に人当たり良く振舞って見せるアントワーヌ。ジャックは彼らを見ていると、なぜかいたたまれない気分になってしまう。

 

だが、ジャックと同じような感性の持ち主がいた。ダニエルの妹、ジェンニーだ。彼女は19歳。ダニエルとともに家出をしたジャックをジェンニーは恨んでいる。それは兄を奪ったことに対する嫉妬心からだ。

しかし、第3巻の終わりで、彼らの距離はぐっと近くなる。ジャックはテニスクラブの帰り道、ジェンニーに、自分が立会人となったバタンクールの結婚式の話をする。彼はジャックの友人で、14歳も年上の未亡人で連れ子のいる女性と結婚した。この結婚にバタンクールの家族は反対し、結婚式に親族は誰一人出なかった。祝電すら一通も届かない。バタンクール側の友人はジャックひとりだった。

彼の話を真剣に聞くジェンニー。ジャックは「おそらく彼として初めての、そして、きわめて濃厚な喜びの気持ち」を味わう。ジェンニーはジェンニーで、ジャックが自分が考えていた人間ではなかったことに気づく。

 

彼女は、ジャックの眼差しの中に、反感を催させるような粗野な重厚さの見えないこと、しかも、明るい、敏捷な、表情に富んだ彼のひとみが、そのときちょうど、澄みわたった水のように思われたことに気がついた。

《どうしてこの人、いつもこんなでいないのかしら?》と彼女は思った。(中略)そしておそらく、彼にあっても彼女にあっても、その楽しみは、ふたりがたがいにひとりだけでないということから、さらにかき立てられていたにちがいなかった。(P215-216)

 

ふたりは似た者同士だ。だが、ジェンニーはどうしても素直になれない。ジャックに興味を持っている素振りさえも見せたくないのだ。誰にも自分の領域に踏み込まれたくないという純情さと頑固さのためだろうか?ふたりはまだまだ近づくことはできない。(第4巻につづく) 

 

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