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こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

読書ノート 池上彰・佐藤優「新・リーダー論」 自己実現ばかり追い求める世の中からは、真のリーダーは生まれない(49日目~50日目)

読書ノート

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池上彰佐藤優「新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス」(文春新書)

 

1.新しい時代のリーダーは簡単には生まれない

「自分の個性を大切にしよう」「自分らしい生き方を大切にしよう」と言われるのは今に始まったことじゃない。私だって学生時代、散々言われたのだ。ところが実社会で働き始めると、「自分の個性」を出してうまくいく職業なんてほとんどないことに気づく。うまくいくのは、芸能界とかスポーツ界くらいだろうか。それでも、周囲とうまくやっていけない「独りよがりの個性」の持ち主は、芸能人だってスポーツ選手だって長く生き残っていけないだろう。

本当に必要なのは、他人の気持ちに共感できる力だ。雑誌のライターだって、スーパーの店員だって、家電製品を修理する人だって、相手の気持ちになって考える能力が一番大切なはずだ。自分勝手な自説はいらないし、自分のカラーなんて強く出さなくていい。それよりも、他人の話を親身になって聞ける人こそ、本当に「仕事のできる人」だと思う。

ところが「新・リーダー論」によれば、自分勝手な自己実現・自己利益ばかり追求するエリートが多いという。これでは真のリーダーは生まれない、と。この本は「どうすれば新しい時代のリーダーになれるのか」について書かれたハウツー本ではなく、「新しい時代のリーダーは簡単には生まれない」ことを様々な切り口から検証した本だ。

私は、佐藤優さんも池上彰さんも大好きで、二人の本は何冊も読んでいる。なぜ好きなのかといえば、二人とも、これっぽっちも威張っている感じがしないからだ。ものすごく頭のいい人たちなのに、あまりかけ離れた世界に住んでいるような気がしないのは、とても不思議な気がする。

 

2.消費税を1%上げると2兆円の増収になり、0歳から22歳までの教育費を無償化できる

なんといっても面白かったのは、米国大統領選挙についての解説だ。この本の奥付は「2016年10月20日 第1刷発行」になっているので、米国大統領選挙の結果が出る2週間も書店に並んだことになるが、まるでトランプ当選を予言しているかのような分析だった。トランプはTPP反対、外国駐留の米軍も撤退と、内向きな発言を繰り返している。それはアメリカがモンロー主義、つまり孤立主義に戻ったのだという指摘に「なるほど」と思った。「世界の警察」でいることに疲れたので、アメリカの原点である「孤立主義」に戻りたいんです!と言いたくなるのはよくわかる。

パナマ文書」も言葉だけ知っていたが、詳細については全く知らなかった。税金を取られまいと逃げる富裕層。そうはさせまいと追いかける国家。これと似たようなことを「石川の日本史B実況中継」でやったばかりだ。そう、「延喜の荘園整理令」。徴税を免れようとする皇族や貴族たち。そうはさせまいとする国家。昔から金持ちと国家の戦いはあったみたいだ。たくさんの荘園を持った皇族や貴族がいるその裏で、土地を手放さなければならない農民も多く、貧富の格差は拡大してもいったのだが。(それも今と同じ?)

パナマ文書」について、佐藤さんが「国家の庇護を受けているエリートが、正当に税金を払わないのは、本来、許されるべきではありません。国家財政が逼迫し、真面目に納税している一般の個人や企業にしわ寄せがくるからです。『自国に税金を納めるのは当たり前だ』という教育がきちんとなされていないのが、問題です」(159ページ)と言っているのが小気味よい。その通りだ。もっと言ってくれ!

そして、なんといっても「消費税を1%上げると2兆円の増収になり、0歳から22歳までの教育費を無償化できる」との提言に、非常に明るい気分になった。こういうはっきりした目的があれば、消費税を上げたってかまわないという人は少なくないと思う。私には子供はいないけど、若い人たちがきちんとした教育を受けられないと、結局まわりまわって自分自身が困ることになることは理解できる。教育費の無償化はぜひ実現してもらいたい。

 

3.人間が成長するためには、何かに帰属することが大切である

社会の連帯感は薄く、個人個人はバラバラ。唯一の価値基準はお金であり、人間の価値はお金で決まる。こんな状態では、社会に対する責任なんて生まれようもないし、真のリーダーも育たない。しかし人間は「群れをつくる動物」なので、リーダーは必要だ。そこで、個人でも国家でもない「中間団体」から中堅やボトムのリーダーを育てることから始めよう、と本書は言う。

「新・リーダー論」は、たぶんビジネスパーソンに向けて書かれているのだろうけど、この本の文脈でいけば、この「中間団体」は、趣味の集まりやマンションの管理組合だっていいはずだ。単なるご近所付き合いだっていい。「敵のイメージ」を作り上げてまとまるのではなく、帰属する社会に貢献するつもりで(といってもそんなに大げさなものではなく、少しでも他者のことを心にかけるという意味で)ゆるやかにまとまるイメージだ。「エリート」だとか「リーダー」だとか、そんな言葉とは全く縁のない私だが、世の中のことがわかりやすく書かれていて、ついでにその場しのぎに終わらない提案もさりげなく盛り込まれていて、とても面白かった。読んでよかった。 

 

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