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こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

「フランス文学素人の私でも心から楽しめた。宮下先生、翻訳してくださってありがとう!」 読書ノート ラブレー著「第五の書ーガルガンチュアとパンタグリュエル5」(109日目~110日目)

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ラブレー著「第五の書ーガルガンチュアとパンタグリュエル5」(宮下志朗訳 ちくま文庫

 

いやはや、読み応えのある名著だった。ど素人の私でも楽しむことができた。それもこれも宮下先生の訳と注釈がわかりやすかったからに他ならない。政治的なことや宗教的なことばかりが書かれているわけではない。16世紀フランスの子供がどのような遊びをしていたか、また、当時のフランス社会のごちそうのメニューはどのようなものであったか、人々の暮らしぶりも知ることができて面白いのだ。私も当時のフランスの空気が吸いたくて、宮下先生の注釈を舐めるように読んだ。もちろん政治情勢の風刺や聖書をもじった表現もたくさん出てくるので、世界史と聖書の基礎知識があったらもっと面白く読めたであろうことは言うまでもない。

さて、最終巻「第五の書」だが、この本はラブレー自身が書いたわけではなく、ラブレーが生前遺した草稿に何人かが手を加えて出版したという見方が有力だそうだ。だから「第五の書」は、あまり価値がないとかなんとか言われているらしい。だが、話そのものは意外と面白かった。パンタグリュエル一行は相変わらず「聖なる酒びんのご神託」を授かるべく旅をしているのだが、「第四の書」と同じく、島々で出会うのは奇怪な怪物人間ばかりだ。一番印象的なのは「ウートル島」だ。そこの島民はみな、暴飲暴食をしている。

「彼らはそろいもそろって、革袋みたいにぱんぱんにふくれて、はちきれんばかりの脂肪分でぷるんぷるんしていたのである。これまでわたしは、他の国では見た経験がなかったのだが、彼らは皮膚に傷をつけて、そこから脂肪分をぷるんと出していた。(中略)そうでもしないと、皮膚のなかに収まりきれないからだという」(126ページ)

そして、彼らは「破裂祝い」の潮時を迎えると、腹を破裂させて死を迎えることになる。なんともグロテスクだ。

賄賂で生きている「シャ=フレ族」の話も面白かった。私の大好きなジャン修道士が大活躍するからだ。本文に隠された意味を読み取る読み方も、それはそれでいいのだが、単純にばかばかしい物語としても楽しめるのがこの本のいいところだ。(肝心の「聖なる酒びん」のお告げを授かる場面は、飽きてしまったが。神殿を歩いている時間がやたらと長い・・・長すぎる。)

「ガルガンチュアとパンタグリュエル」本編だけでなく、この物語のネタ元となった「ガルガンチュア大年代記」(第2巻に収録)や、この物語に影響を受けて書かれた「お腹パンク島」と「パンタグリュエルの滑稽な夢」(第5巻に収録)まで読めるのだから、お得な文庫本シリーズだ。「パンタグリュエルの滑稽な夢」では、パンタグリュエル一行が旅の途中で出会ったであろう奇怪な怪物人間の版画が120枚も並んでいるのだ。この絵をすべて収録した本は、日本では初めてらしい。

宮下志朗先生、こんないかにも翻訳しにくそうな本をわかりやすくしてくださって、本当にありがとうございます。先生がいなければ、おそらくフランソワ・ラブレーとは、赤の他人のままだったでしょうから。

 

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