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こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

「ちょっと風変わりな相思相愛を描いた恋愛小説」 読書ノート アベ・プレヴォー著『マノン・レスコー』(青柳瑞穂訳)211日目~216日目

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アベ・プレヴォー著『マノン・レスコー』(青柳瑞穂訳 新潮文庫

 

4月28日の記事にあげた「桑原武夫が選んだ教養ある日本人のための必読書『世界近代小説50選』」を1冊ずつ読んでみることにした。桑原武夫先生はフランス文学者なので、まずはフランス文学からだ。

マノン・レスコー』は映画にもオペラにもなっているらしいのだが、私は題名すら知らなかった。読み始めたばかりの時は「ひとりの貴公子が悪女に振り回される話」なのかと思い、退屈だったが、読み進めるにつれて引き込まれ、一気に読了してしまった。

主人公のデ・グリュウは名家の出でかなりのイケメンだ。学業も優秀。性格もいいので誰もが魅了されてしまう。そんな何もかも持ち合わせた貴公子が、マノン・レスコーという美しい女性に首ったけになってしまう。そして、マノンもグリュウを誰よりも愛している。

ところがマノンは享楽的な性癖を持っていて、おカネをくれる人には喜んでついていってしまう。マノンの美しさに惚れ込んで愛人にしたがる金持ちから巻き上げたおカネで、愛するグリュウと贅沢な暮らしをすればいい。そんな暮らしのどこが悪いのか?という考え方なのだ。グリュウを「裏切った」などという気はさらさらない。一番愛しているのはグリュウなのだから。

当然、こんな考えを甘受できる男はいない。それなのに、グリュウはマノンを切り捨てることができないのだ。

マノンは異常性格の女だった。金銭に対して、あれほど淡白な女はなかったろうが、そのくせ、金銭の不足は、一時たりと彼女を落ち着かせておかなかった。何より彼女に必要なものは快楽であり、遊びであった。もし金を払わずに遊び楽しむことができるものとしたら、彼女は一文だって欲しがらなかったろう。彼女は一日を快適に暮らすことさえできれば、私たちの財産がどうなっていようが穿鑿などしなかった。だから、遊びに極端におぼれるというのでもなく、大出費の豪勢ぶりでなければ目がくらまないというのでもないので、彼女の好みにあった遊びさえ毎日作ってやれば、彼女を満足させるくらいやさしいことはなかった。ただし、このように快楽に没頭していることは、彼女にとって、どうしても必要だったので、それなしだと、彼女の気分や愛情はまったく当てにならなかった。(P84-85)

マノンに必要な出費に応じられるように、グリュウは自分ひとりの分は節約するようにする。友人にも借金をする。挙句の果てには賭博や詐欺にも手を出し、サン・ラザール(品行不良の良家の子弟を監禁した獄舎)に送られても脱獄するし、脱獄の際に人まで殺しているし、転落人生はとどまるところを知らない。

それでも18世紀のフランスは不思議なところで、お人好しが集まり過ぎている。友人は何度グリュウに裏切られても「今度こそ立ち直ってくれるに違いない」とお金を貸してくれるし、賭博に手を出そうとすると「シロウトがいきなりやると危険だよ」と教えてくれる人(マノンの兄)がいるし、脱獄のときに人を殺してしまったときも、グリュウを気に入っていた院長さんは殺人をなかったことにしてくれるし(!)、お父さんは最後の最後まで真剣に息子のことを心配してくれているし、不幸だ不幸だとグリュウが嘆いているわりには、ちっとも不幸ではないのだ。

最後、やっとマノンが改心して、グリュウと二人だけの平穏な生活が送れそうになったところで悲劇的な結末が待っている。二人には波乱万丈の人生がお似合いだったのだろうか。この物語はまぎれもなく、相思相愛を描いた恋愛小説だった。

 

桑原武夫が選んだ教養ある日本人のための必読書「世界近代小説50選」↓

kodairaponta.hatenadiary.jp 

 

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