こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

「夫婦はこうして出来上がっていく」そのプロセスに感動する。/川島雄三監督:映画『暖簾』

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◎11月29日(木)晴れ。

サム・ペキンパー監督『ワイルドバンチ』と川島雄三監督『暖簾(のれん)』をTSUTAYAで借りて見た。『ワイルドバンチ』のレビューは「こだいらぽんたの読書日記」の「名作映画100選」の方に書いた。「100選」の中には川島雄三の映画も入っているのだが、題名を間違えて違うものを借りてしまった。ところがこれが素晴らしい映画だった。見て良かった。ここでは『暖簾』について簡単に書きたい。

 

ざっくりとした内容はこうだ。

大阪の老舗昆布店・浪花屋で丁稚奉公で働く吾平(森繁久彌)が真面目な働きっぷりを買われ、大旦那にのれん分けしてもらう。震えるような感激を味わい、やる気満々の吾平。いずれは仲の良い奉公人・お松(乙羽信子)と一緒になって店を大きくしていきたい。ところが大旦那は、いかにも気の強そうな姪っ子のお千代(山田五十鈴)を結婚相手として押し付けてきた。泣く泣く別れる吾平とお松。

心ならずも一緒になったお千代は、言いたいことをずけずけと言う女だった。結婚初夜に「あんた、おなごはん知っとるか?」なんて言い出すのだ。「貯金なんぼあんの?通帳見せておくれやす」と容赦のないお千代に吾平はドン引きだ。これでは先が思いやられる。

ここまでは「吾平は結ばれなかったお松の面影を支えに、味気ない結婚生活を送るんだな」と思わせる展開だ。ところがそうではなかった。お千代は夫につっけんどんでこれっぽっちも優しそうに見えないが、なかなかいい女房になるのだ。吾平の店は何度もピンチを迎える。昆布加工工場を作って負債を抱えたり、台風で昆布加工工場が駄目になったときはどこからも融資のあてがなかったり。絶体絶命のピンチのときも泣き言ひとつ言わず、お千代は吾平を支える。ちっとも仲が良さそうに見えなかった夫婦は、年を取るごとにお互い離れがたい存在になっていく。「夫婦はこうやって出来上がっていくのか」という、そのプロセスに感動する。

 

三人の子供のうち、商売の才能を開花させる次男の孝平と吾平が衝突する場面も面白い。若い孝平の商売のやり方は斬新でスピーディーで、年老いた吾平はついていけない。「昔はこういうやり方じゃなかった」といちいち文句をつける吾平。息子は自分をとっくの昔に越えてしまった。それはわかっているのだ。でも認めたくないとばかりにいつまでも意地を張る吾平。昆布の競りだって東京の新興勢力にやられっぱなしでうまくいかない。老いていくことの寂しさ、哀愁が感じられる。

ところが最後、ひょんなことから吾平は安く昆布を仕入れることができる。棚からぼたもちのような話だったが、そのときの吾平の嬉しそうな顔といったら・・・。「安く買うたった。孝平まだ知りよらんで」と得意そうにお千代に報告する吾平。このシーンに涙が止まらなかった。大手柄だ。息子もびっくりするよ、きっと。何度も何度も言ってやりたくなるシーンなのだ。

この映画には人間に対する愛情がある。撮り方やカットがどうとかこうとかテクニカルなことは全く分からないが、人間に対する愛情が濃い映画はいい映画だ。人間に対する愛情が薄い映画は駄目な映画だ。その意味では間違いなく素晴らしい映画だ。

 

他の人が書いた映画レビューも読んでみた。川島雄三という監督にはファンがたくさんいるらしく、「川島映画のベスト10はこれだ!」というブログが結構あがっているのが面白かった。なかでも笑ったのが、立川志らくが1位に『洲崎パラダイス赤信号』、2位に『グラマ島の誘惑』をあげたことに対して、めちゃくちゃ嚙みついている人がいたことだ。「肌合いが全く異なる『洲崎パラダイス赤信号』と『グラマ島の誘惑』をイコールで並べる無神経さにはついていけない」と、ちょっと意味が分からないけれど、かなりお怒りの模様だ。

どちらも見たことはないけれど、個人の好みの問題なんだから仕方ないじゃない。それでもついつい熱くなって語ってしまうのがファンの心情なんだろう。そんな志らくのベスト10の中に『暖簾』は入っていない。なんてこった!

 

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