こだいらぽんたの「基礎学力」勉強日記

基礎学力(高卒程度)を身につけたい。読書も旅もしたい。フットボールも見たい。

「矛盾にじっと耐える力」/荒木飛呂彦著『ジョジョの奇妙な冒険ー第5部 黄金の風』

◎2019年11月14日(木)晴れ。

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荒木飛呂彦著『ジョジョの奇妙な冒険ーPARTE5 黄金の風』(集英社文庫/全10巻)

 

Kindle Oasisの使い心地が快適だ。軽い、早い、防水加工がなされているので風呂でも読める。

Kindleでは以前から読みたかった『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』(全10巻)をまとめ買いした。「黄金の風」は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第5部だ。第4部「ダイヤモンドは砕けない」が大好きな私は、第5部の「イタリアのギャングの話」にどうしても入って行けず、そのうち『ジョジョ』シリーズから遠ざかってしまった。

ところが先日、CSで『ジョジョ』シリーズのアニメ(再放送)をたまたま見た。アニメのクオリティーが高かったこともあるが、あまり期待していなかった第5部が面白くてぐいぐい引き込まれていった。同時に原作が気になった。今まで「読まず嫌い」で遠ざけていたが、これはもう読まずにはいられない。

第5部「黄金の風」の登場人物たちは、主人公のジョルノ・ジョバァーナをはじめとして「失うものが何もない」という過酷な状況の中で生きている。家族に虐待されて帰る場所がなかったり、正当防衛で殺人をしてしまったり、友人の裏切りで刑務所に入れられたり、まっとうな社会からはじき出され、闇の世界でしか生きることができなくなってしまった登場人物ばかりだ。そこが今までの『ジョジョ』作品とは圧倒的に違う。

第1巻の荒木先生による「あとがき」は衝撃的だった。

人間は生まれる環境によって最初から幸せな人もいるし、もし最悪な状況の場所に生まれて来たらそういう人は、いったいどうすればいいのだろう?

第5部「黄金の風」の登場人物たちはみな、理由があって社会から外にはじき出され、そこでしか生きていけない状況におかれてしまっています。しかし、そこは完全に弱肉強食の世界で、「悪」によって包囲されていたとしたら、彼らはその場所で「正義」を貫けるのだろうか?(第1巻P311)

 本物の「悪」は実在する。本物の「悪」にリアリティーをもたせるためには、かなりグロテスクなものも描かなければならない。荒木先生は「悪」のリアリティーを表現に果敢に挑戦した。

ところがここに「週刊少年ジャンプ」編集部の「待った」がかかる。「そのページ直せ」「あそこのセリフを変更しろ」「絵を修正しろ」といった注文がものすごく多くなったというのだ。いわゆる「自主規制」によるブレーキなのだが、その圧力が半端なかったらしい。

しかもなぜダメなのかだのの説明があまりなく、中には納得いく理由がハッキリしていないのに、「とにかく規則みたいなものだから、〆切も近いし、そういう最近の出版状況なの、さっさと直してよ、後は自分で考えてね」的な態度で指導があるのだ。(P312)

そして、荒木先生は「黄金の風」のテーマ性を表現するのに大きな危機を感じ、漫画としての芸術的な発展がもうないのではないだろうかと思い悩んだという。

もちろん当時の「週刊少年ジャンプ」編集部にも言い分はあるだろうから一方的な判断はできないが、荒木先生のすごいところは、その「週刊少年ジャンプ」で「黄金の風」を完結させてしまったところだ。納得いかない思いを抱えながらも、じっと耐えて表現し続ける。これはかなりの胆力が必要だ。

そして、個人的なツイッターで不満をぶちまけるような恥ずかしい真似はせず、集英社文庫から出した『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』のあとがきで正々堂々と語っているところがかっこいい。

こういった姿勢には私も実に勇気づけられた。納得いかないことなんかこの世にはたくさんあるし、自分の価値観とは相いれない行動や発言をする人もたくさんいる。そんなときは「矛盾にじっと耐える力」が必要になってくる。地味で目立たない力だけど、こうした力のある人には心から敬意を表する。

先にも言った通り、「黄金の風」には、さまざまな事情から闇の世界でしか生きていけない人間ばかりが登場する。彼らも矛盾に耐えながら生きていく。しかしそんな彼らに光が当たっている。読後感はものすごくさわやかだ。第5部は重厚感のある素晴らしい作品だった。

 

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